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はちみつ~非加熱処理って?

はちみつの加熱・非加熱の話

ハチの巣2

 

 以前ブログで「本物のはちみつの見分け方」を書きました。(興味のある方は、是非見てください。赤字をクリックすればリンク先に繋がります)

 その中でも、「加熱」関しては触れているのですが…

再びはちみつの「加熱」について書こうと思ったのは、近年のはちみつ宣伝では、よく「非加熱」という言葉を聞くようになったからです。

 そもそもなんで「非加熱」という謳い文句が発生しているのでしょうか?

 確かに、加熱(凡そ45度以上)によってはちみつの大切な成分であるミネラルやビタミンが破壊されてしまいます。しかし、何故「非加熱」を強調したいのでしょうか?

 

はちみつ採取工程~瓶詰工程と加熱について

 はちみつの採取工程から考えると、巣蜜から蜜のみを取り瓶詰する工程では、

①巣蜜の蜜蓋を取る

②蜜をコム(巣脾)から遠心分離機で取る

③蜜に混ざってしまった蜜ろう(巣脾の一部)や汚れを濾す

④瓶などの容器に注入する

という作業のみで、ここで加熱が発生する余地はありません。(「非加熱」と言う定義に関しては、別途触れてみたいと思います)

 

 では、「加熱」が必要な状況と言うのは、工程の中で何を意味しているのでしょうか?

①はちみつの糖度が低く、はちみつとしての基準値を満たす糖度60%にするため

 はちみつは、ミツバチが採蜜した時は糖度30%未満です。その後、ミツバチの体温や羽の羽ばたきで水分を飛ばしてはちみつが発酵しない糖度になったら蜜蓋がされます。

 巣箱の中で十分に糖度が上がらないうちに採取したはちみつは規格にも合いませんので、「加熱」して水分を減らし、糖度の基準を満たそうと言う試みです。

 ちなみに、水分の上限は国産品で22%、輸入品で20%です。国産品の水分上限が22%というのは、どうも日本ミツバチは糖度78~79%くらいで蜜蓋を形成始めてしまうと言うような  

 背景(本当かどうか知りません)があるようです。

 糖度が低いうちに採取するというのは、辛抱できないのか、生産効率を上げたいのか? しかし、当然のことながら、はちみつとしての品質は良くないですね。

マリーハニー巣蜜                (写真)完全に蜜蓋の出来た巣蜜

 

②瓶詰工程の効率化と結晶化したはちみつの対処

 採取したはちみつを最終的に瓶詰する時は、粘度が高いと機械が対応できません。「加熱」をして粘度を下げる事が効率を上げます。

 一方で、輸入はちみつをドラムで仕入れて国内で瓶詰する場合も、輸送途中の気温の関係で結晶化してしまい、とてもとても瓶詰出来ないような場合は、加熱する事で柔らかいはちみ

 つに戻して、注入する事が考えられます。

 

 ①に関しての「加熱」は論外です。しかし、実に多い…😢 輸入の際にも成分分析検査表を提出するのですが、加熱されているのかされていないのかは分析結果では分からないのです。

 水分が低いとどうなってしまうかと言えば、発酵する危険性があるので、味も悪くなるし傷みもでます。どこかのはちみつ輸入者が「泡が出ているから酵素が働いていて、生なんです」と宣伝していたのを見かけたことがありますが、とんでもない話です。本物のはちみつは糖度が高いから発酵せずに何年も何十年、何百年と腐敗しないのです。「泡が出ている様なはちみつは買ってはいけません。」と店主は独り言します。発酵=非加熱(=生??)とは言えますが、十分な糖度に達していないと言う事だと思います。

 ○○国産は糖度が上がる前に収獲して加熱による水分蒸発をさせていると言う情報は、可能性はあるものの、誹謗中傷になりやすいので注意が必要です。個人的な考えでありますが、生産国の農業省がどれだけ真摯に1次産業に対して厳しくしているかを見る事も大切な事であると店主は思います。規制が厳しければ、ある程度不正ははじき出されます。とは言え、国によっては官民で怪しいところもありますけど…。

 

 次に、「瓶詰工程と結晶化したはちみつの対処」目的の加熱ですが、これもなかなか見破りにくいです。花蜜の種類で結晶化しやすいかどうかはある程度分かります。蜜に「果糖」の割合が高ければ結晶化しにくいですが、「ブドウ糖」は結晶化しやすいです。花粉などが多いと結晶化の核になりやすいと言う意見もありますが、私は果糖とブドウ糖の割合と花蜜の種類なのではないかと考えています。結晶化していないとしても、本物のはちみつは常温状態でもそこそこの粘度があり、常温での瓶詰作業は骨折れる作業になる事でしょう。例えばドラム缶で輸入して国内で瓶詰作業をする場合、35度~45度くらいまで加温してドラム缶全体量の温度を上がるまで待つと考えると相当の時間が掛かるのではないかと心配してしまいます。ましてや、結晶化が早い事で有名な(かの有名な)マヌカハニーなどは、まじめに瓶詰出来る粘度まで落とすのにどれだけ時間が掛かるのだろうと想像すると気が遠くなりそうです。

 結晶化の早いマヌカハニーや当店で扱うエリカハニー(エリカは採蜜後1~2か月で結晶化してしまいますが、これがクリーミィはちみつと言われる所以でもあります)などは、養蜂家が採蜜してそれを巣温35度~40度前後に保温して、出来るだけ早く容器充填をするようにされているようです。従って、養蜂家が採蜜から充填まで実施しているところは、丁寧に低温で対応していると言えるでしょう。参考までに、巣蜜(ハニコム)の状態で保管する温度は、−18度以下が良いそうです。(西オーストラリア養蜂家Benの話) 糖度が高い(水分が低い)はちみつは冷凍庫で凍結しないだけではなく、結晶化もしないそうです。

 

ジャラハニーの雫

 

非加熱の定義について

 はてさて、またまた長くなってしまいました…(-_-;)

最後に、「非加熱」の定義について触れてみたいと思います。世の中では、「非加熱」はちみつと宣伝しているところがありますが、上記汚れを取る作業、はちみつがあるべき温度で保管される事を考えると、通常加温はされていると思います。一部の意見では60度までは良いとか、40度までは良いとか、論理的根拠の少ない表現も多い様に見受けられます。色々文献を探しましたが、残念ながら「はちみつの非加熱定義」に関しての科学的資料は見当たりませんでした。ここからは、店主の勝手な理論になりますが、基本的には「はちの巣常温=30度~35度」が適切な対応ではないのかと思います。ミツバチの生体から考えると、ミツバチの熱耐久性は凡そ50度と言われています。これは、別のブログ「蜂球」で紹介したように、スズメバチへの攻撃でスズメバチは45度以上になると死んでしまうことからも実証されています。ミツバチが巣の温度を調整していると考えますが、はちの巣の温度管理ははちみつの栄養素、ハチの生活環境温度(子育ても含む)を考慮して自然に設定されているのではないかと推測します。

 

はずれを掴まないヒント

 はちみつは常温であることが望ましいのですが、性状上「加熱」した方が作業が楽になる為、そのような対処をしてしまう所が多くあるのが実情です。しかも、店頭にあるはちみつを見ても、どの様な工程を経ているのかは分からないのです。従って、本物を見分けるのが難しいです。原産国詐称なんてこともあるわけですが、その辺のところはいずればれてしまいますから、「原産国」に関してはまずは注意しましょう。原産国が複数になっているところは、当然各国から輸入したはちみつを国内で瓶詰していますので、加熱処理をしていることが疑われます。ちなみに、ある国内養蜂場の自信の一品とあったはちみつの原産国に国産と中国産と併記があったことがありました。中国産が悪いわけではありませんが、しっかりラベルは確認しないといけないですね(-_-;) 海外品の場合は、瓶詰が現地でされていれば少し安心。養蜂家の名前が記載されていれば、更に安心と言えるかもしれません。国産であっても、一つの養蜂家で管理している巣箱は少ないところが多いです。且つ、日本の各蜜源(花畑など)は大きくないですから、かなりの部分で各地から集めた同一種を混ぜる可能性も高いです。その場合は、加熱している事も考えられます。従って、国内でも養蜂家の名前が記載されているものを選ぶのが良いでしょう。

 

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