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店主の独り言~本物のはちみつを求めて~はちみつの品質を見極める難しさ

本物のはちみつを求めて

~はちみつの品質を見極める難しさ~

マリーハニー巣蜜

 

健康志向からのはちみつ消費増加と国産養蜂の問題

  はちみつは、ミツバチしか作らない、花の蜜だけを使った貴重な食品です。
マヌカハニーやジャラハニーの様に高い抗菌作用を特徴としたものから、花の種類別に加えて様々な花から採取した百花蜜など、数えきれないはちみつが存在します。
 健康志向、特にはちみつの抗酸化効果や、腸内細菌の調整としてのプレバイオティクス効果、疲労回復等の期待から、消費量は年々増加傾向のようです。
 一方で、はちみつの国産自給率は10%未満、最大の輸入国は中国で70%以上を占めています。
 輸入はちみつが増加している反面、国産養蜂業は難しい問題をいくつも抱えている様に見受けられます。

 

養蜂従事者の高齢化と後継者問題

  養蜂業も、農業水産業と同様に高齢化と後継者問題があります。国内には約9,000の登録養蜂家がいると言われていますが、実際に養蜂を生業とされている方は6,000程度と言われています。しかし、海外と同様に大規模養蜂家は少なく、養蜂業だけで生計を立てるのは厳しいと言うのが実情のようです。

 

蜜源の減少

  土地開発や農地作付け変更などで蜜源は確実に減少しています。更に、国産はちみつの代表格「アカシア」は、国産アカシアではなく「ニセアカシア」と言われ、国内固有種である樹木を脅かすものとして「要注意外来生物リスト」に載っており、一部の地域では伐採を行っているのです。国産はちみつの多くがこのニセアカシアを蜜源にしています。また、養蜂業が貢献する果樹園やハウス栽培の受粉交配も品種改良などで花の蜜が少なくなったり、そもそもの果樹園(農業)が高齢化問題を抱え縮小傾向でもあるようです。

 

異常気象

 近年夏の猛暑は、世界中で大規模な自然火災を引き起こし森林を焼き尽くしています。日本も、梅雨時から夏にかけての豪雨被害は農作物だけではなく、家屋までにも甚大な被害を発生させています。我が家の友人で果樹園を営んでいるおうちも、昨年も今年も豪雨と霜で不作に悩んでいます。

こうした国内事情の背景も後押しして、輸入はちみつは増加していると思われます。

しかし、輸入はちみつが増加してものすごい数が市場に出回っている中で、何が本物のはちみつなのかは迷ってしまいますね。

 

 

天然はちみつ、生はちみつ、純粋はちみつ:理解不可解な名称

 日本では、はちみつの表示で様々な呼び方があり、なかなか理解しにくいです。
ブログでも何度か記載しましたが、日本におけるはちみつの表示は、消費者には本質を理解しにくい表現が多いです。「純粋なはちみつなのに、天然じゃないの?」とか、「非加熱と記載されているから天然(生)はちみつでしょ?」とか。
 国内においては、「純粋はちみつ」と言う表記が多い様に思います。いくつかの協会で表示の方法が違うようです。「天然はちみつ」と言う表現を使わない様にと指導する協会もあれば、「天然はちみつ」と表記しなさいと言う協会もあります。
定義としては、「一切の加工処理を施していない生のはちみつ」と言う事のようです。しかし、食品定義で「生はちみつ」と言うカテゴリーは存在しません。生はちみつに関しては、下記のブログで触れていますので、参考にしてください。
 一般的には、水分20%以下(国産は22%以下)、ショ糖5%以下、果糖・ブドウ糖成分60%以上と言われています。この段階で、ショ糖や水あめなど人工的な甘味を加えたはちみつは純粋なはちみつではないと言う事です。
 しかし、天然はちみつを加熱して水分を飛ばしたものも「純粋はちみつ」と言っていいようです。これが、「はちみつ」を理解するのに障壁の一つとなっているのではないかと思っています。加熱して強制的に糖度を上げたはちみつを「純粋なはちみつ」と言っていいものでしょうか。

 

店主の独り言~生はちみつと糖度について

 

 

加熱された純粋はちみつ

 ミツバチは、様々な花から花蜜を採取してきます。この段階で花蜜の糖度は20%くらい、水分が80%くらいあります。水分が高いと発酵してしまい、長期保存が出来ないので、ミツバチは体内酵素を使いはちみつを作り、それを羽を羽ばたかせたりして水分を飛ばしていきます。この時の巣温は、35度前後です。蜜の糖度が80%を超えた頃に、「完了マーク」として蜜蓋を形成していきます。しかし、蜜蓋が完成するまで待っていると相当の時間がかかってしまうので、蜜が巣にある程度貯まった時点で遠心分離機で採蜜し、人工的に加熱する事で糖度80%のはちみつを作り上げてしまうところもあります。これでも、「100%純粋はちみつ」であり、加熱しているかどうかは表記の必要はないです。はちみつに含まれるミネラルやビタミンは凡そ45度を超えると破壊されてしまいますので、この時点で「天然はちみつ」とは言い難い状態になってしまいます。更に、瓶詰工程で、粘度を下げて効率を上げるために過熱する工場もあります。この工程に関する情報も不足しています。

 更に、「意図的でない加熱問題」もあります。安い船便を選ぶか高い航空便を選ぶかで、品質に関わる問題が発生する事も多いです。

この件については、下記別ブログで触れていますので、是非ご覧ください。

店主の独り言~生はちみつと天然はちみつ(輸送の話)

 

瓶詰工程で加熱されるはちみつ

 瓶詰工程で加熱・攪拌される工程は、瓶詰の効率を上げるばかりではありません。養蜂家は自分で瓶詰作業を行うほど大規模に養蜂を行っているところは少ないです。巣の数が増えるほど蜂の世話や管理をする事が非常に困難になってくるため、一般に言うはちみつブローカーへ納入する事が多いからです。西オーストラリアでも、100個を超える巣を管理している養蜂家は登録数3,500程の内半分もいません。1個の巣箱で9枚の巣板(巣脾)が一般的ですので、900枚の巣板を管理するわけですが、1枚に3,000匹のミツバチと計算すると、1箱で27,000匹のミツバチを世話しなければなりません。一方で、900枚の巣板でも1枚当たり3㎏くらいの蜜を採取できると仮定しても、2,700㎏程度のはちみつしか取れませんから、これで家計を賄う事は非常に困難です。
 さて、瓶詰作業前に過熱・攪拌をする理由は、様々な中小養蜂家から集められたはちみつを混ぜる事で、最終的に蜜の均一化を図っています。まじめな瓶詰ブローカーは、巣温度と同じ35度前後で攪拌しているようですが、効率は落ちるので、それだけ価格に転嫁されてしまいます。従って、思わず瓶詰工程で高い温度で加熱してしまう工場も少なくありません。

 

ショ糖のレベル

 先に天然はちみつはショ糖が5%以下が規定と述べました。本物の天然はちみつは、実際のショ糖レベルは1%もありません。花蜜の成分であるショ糖をミツバチが酵素で分解して果糖とブドウ糖を生成します。ミツバチがしっかり作った蜂蜜にはショ糖は殆ど含まれていないのです。しかし、ミツバチが作った蜂蜜を全て搾取してしまうとミツバチも越冬できなかったり体力的にも衰えてしまいますので、砂糖水を与えるところが少なくありません。と言うか、殆どでしょう。これは、蜜源である自然の花が少ない事や出来るだけ多くのはちみつを採取しようと言う理由からでしょうか…。給餌されたショ糖は巣蜜ショ糖〇%として残る事が多いようです。私の友人でギリシャで養蜂業を営んでいるシロパイディスは、蜜が思ったより取れない年は「ミツバチに返す」と言って採蜜を諦めたりします。
はちみつの成分表示ではショ糖の含有量を明記しなければならないと言う規則はありません。あくまでも5%以下であれば「純粋はちみつ(天然はちみつ)」と表示できます。

はちみつ糖質成分表

 

結晶化するはちみつは「本物」と言う事への疑惑

 「結晶化するからほんもののはちみつ」と言う話を時々聞きます。本当にそうなのでしょうか?
はちみつは、13度~15度界隈で結晶化します。結晶化する理由としては①ブドウ糖が多いと結晶化しやすい、②結晶の核となる花粉や蜜ろうが成分に多く残っている場合も結晶化しやすいなどがあります。しかし、ジャラハニーの様に果糖の割合が非常に高いと容器の下の方に花粉などが沈殿する事はあっても結晶化する事が少ないです。従って、結晶化するはちみつ=本物のはちみつとは100%言い切る事は出来ません。結晶化しない「本物のはちみつ」もあるのです。一方で、最初から結晶化したようにクリーミーな蜂蜜もたくさんあります。南オーストラリアのレザーウッドや、クラヤが取り扱うギリシャのエリカ(ヒース)もクリーミーはちみつの代表格です。

 

モノフローラルの本当と嘘

 近年マヌカハニーの偽物問題から、ニュージーランドではモノフローラル・マヌカハニーとマルチフローラル・マヌカハニーなるものが出てきました。昔からマヌカハニーの検査では、はちみつ成分の中の花粉の種類を測定する検査がありました。費用が掛かるので実施しているところがどのくらいあるかは知りません。検体の花粉がどのくらいの%であるかでモノフローラルと謳っていましたが、最近の指標は少々違う数字のようです。(詳しくは書きません)他方で、自然の森や草原の中で、ミツバチに「この花からだけ蜜を取ってきなさい」と命令しても言う事は聞きません。無人島で1種類しか花が咲かない場所とか、ビニールハウスの中で単一花を育てなければ、「〇〇蜜100%」と言う事は100%あり得ないのです。
自然の中では単一種と言っても、最大75~85%が良いところでしょう。その意味で、「○○蜜100%」と謳っている蜂蜜は、少し「?」をもっても良いかもしれませんね。

 

本物のはちみつを選ぶために

 これまで書いた内容を見ると、だったらどうやって本物の天然はちみつを選べばいいのか?と大きな疑問を持つ方も多いでしょう。
 次にあげる項目は、一つ一つの不安を最低限にして、可能な限り「本物」のはちみつを見つける手助けになるのではないかと思います。

①原産国が一つである事:
②単一養蜂家が採取したはちみつ:
③ロット番号が明記されているもの:
④分析証(TA)が発行されていて、ロット番号が一致している事:
⑤成分(果糖・ブドウ糖・ショ糖や水分)の分析証が確認できる事:
⑥価格が極端に安くない事:

 

原産国が一つである事

 原産国が一つでないと言う事は、色々な国で採れたはちみつを混ぜて瓶詰もので、一番の理由はコストメリットでしょう。本当に自信をもって採取したはちみつならば、他国産と混ぜる事はしません。また、国によっては、抗生物質、農薬使用に関して甘いところもあるので、注意が必要です。(勿論、現物に混入されている場合は、検疫でひっかかってしまいますが…)

安価なはちみつが混在していますので、生産効率を上げるために瓶詰の際には加熱していることも想像されます。

原産国は、食品表示で義務付けられていますので、容器を見れば確認できます。表示詐称を疑うと…ですが、輸入者は必ず原産地証明書を出さなければなりません。(ロット番号も記載されています) 他に挙げる項目でどうしても心配が残れば、購入先に問い合わせしてもいいかもしれません。

 

単一養蜂家が採取したはちみつ

 単一養蜂家が採取したはちみつは、確実に同じ巣蜜が使用されているおり蜜源が同じと言えます。トレーサビリティの観点からも、可能な限り「養蜂家が見える」はちみつを口にする事が出来ます。出来る事なら、養蜂家が自分で瓶詰をして輸出しているところが間違いがないでしょう。養蜂家は、はちみつの扱いを一番知っていて、苦労して採取したはちみつを加熱などで台無しにするようなことはしないからです。輸出者と養蜂家は違う場合があります。これには二つの事が考えられます。養蜂家が輸出ライセンスを持っていない場合と多数の養蜂家から集めたはちみつを瓶詰している場合です。前者の場合、全ての書類上で養蜂家、ロット番号等が一致していれば、少なくとも蜜源は間違いない事がわかります。

はちみつロットデータ

 

ロット番号が明記されているもの

 本体にロット番号が明記していることは、生産者を特定する事を裏付けます。
プロの養蜂家は、出荷の際にロット番号を明記しています。採蜜の後必ず成分検査を受けるからです。残留農薬や抗生物質の有無も調査も定期的に実施されます。こうした安全性は養蜂家の仕事の大切な一つです。昨年、ニュージーランド産はちみつに残留農薬が入っていて、現在も輸入時に厳しく検査されるようです。中国産の場合も、残留農薬と抗生物質調査の目が厳しいと検疫所も話していました。
 養蜂家が明記されているのにロット番号が記載されていないケースも時々見受けます。どうしてなのか、現時点では調査不足で分かりません。ごめんなさい。

 

分析証(TA)が発行されていて、ロット番号が一致している事

 マヌカハニーのUMF/MGOやジャラハニーのTA(トータルアクティビティ)数値の認定機関分析証がある場合は、ロット番号と試験表にある番号が一致していることを確認する事が重要です。分析は、一般的な検査項目ではないので、申請者は一般検査の指定検査機関になる事が殆どです。

はちみつTA表

成分(果糖・ブドウ糖・ショ糖や水分)の分析証が確認できる事
 

海外製品の場合、輸入の際に必ず成分表を提出しなければなりません。一般的に成分表の詳細まで開示する事はありませんが、気になる場合は、販売元に要求してもいいかもしれません。分析証の宛先は通常申請養蜂家になります。申請者が養蜂家でない場合は、ブローカーが集めたはちみつを分析依頼したと推測できます。養蜂家申請の場合、申請者のところは個人名かApiaries(養蜂場)が多く、ブローカーの場合は、〇〇Industriesとか○○Honey Ltdなどとが多いと思います。

価格が極端に安くない事

 

 最後に、価格が極端に安いはちみつは、注意が必要です。
 「天然はちみつ」は、1匹の働きバチが生涯を通じてスプーン一杯も集める事が出来ません。それだけ貴重なものです。250gで最終小売価格1,000円(1㎏ 4,000円程度)では、とても養蜂家はやっていけません。更に、輸入はちみつは2021年度で関税が12.7%かかります。今後数年かけて0%になっていきます。また、船で輸送すると料金は安くなりますが、南半球からは赤道直下を通過しますし、欧州からは中東~亜熱帯地域を長期間通過しますので温度も上がる危険が伴い、品質劣化に繋がります。品質を確実にするには空輸しかありませんので、その分価格が高くなります。
 安くするためには、それ相応の理由があると思うのが正解と思います。

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「あなたの世界を彩る一品を」をコンセプトに、西オーストラリア・ギリシャアンドロス島から「おいしい」を直送しております。コールドプレス製法で作られるエクストラバージンオリーブオイルや希少はちみつと言われるジャラハニーをはじめ、世界40か国を訪れた店主が、実際に目で見て、心で感じた大自然の豊かな恵みを是非お楽しみください。

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