「生はちみつ」と「天然はちみつ」

 

　以前店主は「生はちみつ」と言うカテゴリーは存在せず、「天然はちみつ」が正しい表現と言うブログを書きました。 その思いとは逆に、世の中では「生はちみつ」の言葉が主流になりそうな気配… 言葉の流行というのは、なかなか止められるものではありませんね。

 

「加熱はちみつ」とは

 

　「生」＝「非加熱」と表現するところが多くなりました。 確かに、加熱はちみつは、糖度の低い（水分の多い）はちみつを加熱する事で糖度を上げて発酵しないはちみつ本来の姿にする工程なわけですが、加熱する事でビタミンやミネラルなど大切な成分を台無しにしてしまいます。 従って、「加熱はちみつ」は「天然」（生）のはちみつではなくなってしまい、単なるはちみつ風味の糖質と言っても過言ではないと思います。 しかも加熱をすることは、粘度を下げますので、ろ過や瓶詰をするときに実に効率が良くなります。 大規模な蜂蜜瓶詰工場（色々な養蜂家から同一種のはちみつを集めて販売する）などは、ある程度の加熱処理をする事があるようです。

 

結晶化しても大丈夫

 

　さて、「生」と「天然」にこだわる話ですが、「加熱」と言う点では、上のように人為的に加熱することと、意図せずに加熱されてしまったと言う場合があります。 はちみつは、45度くらいから徐々に成分の破壊が始まります。 結晶化してしまったはちみつを元の液状に戻すには40度前後でじっくりと加温する事が有効ですが、それ以上に過熱すると成分が壊れてしまいます。 結晶化してしまった状態でも、口当たりは違いますが、味も成分も変わりがありません。 出来る事なら結晶化した状態のままで食べて頂きたいです。

 

意図しない加熱😢

 

　意図せず加熱されてしまう状況とは、輸送時に環境温度が上がってしまう事があげられます。
南半球で採れるはちみつを海上輸送した場合は、赤道を通過しますので、時によってはコンテナの内部温度が非常に高温にさらされる場合があります。 ヨーロッパから船で持ち込む場合はもっと大変で、スエズ運河～中東～インド洋～東南アジア（赤道直下）を2週間以上をかけて通過していきます。 この状態では、はちみつは意図せずに45度以上に加熱されてしまいます。 つまり、折角の「天然はちみつ」が「生」の状態ではなくなってしまう事を意味します。

 

クラヤのはちみつは空輸で

 

　クラヤが輸入するオーストラリアのジャラハニー、マリーハニー（レッドガム）もギリシャのタイムハニー、エリカハニーも、こうした輸送上での意図せぬ加温（加熱）による劣化を防ぐために空輸で取り寄せています。 お値段は少し高くなってしまいますが、大切に採取した「天然」のはちみつを品質を確保してお届けするには空輸で持ってくるしかないのです。